¡Hola Mexico!

メキシコ雑貨店 ¡HolaMexico!(オラメヒコ!) のブログです。メキシコの楽しいこと、かわいいもの、をたくさん発信していきます!

「メキシコ民芸の旅」

 メキシコでは、手作りの民芸品が多く見られます。きっちりきれいに作られた芸の細かい工業製品も美しいですが、民芸品はちょっとゆがみのある所にこそむしろ愛らしさを感じてしまったりするもの。それに見ていると、何か足りないときは自分で作ればいい!工夫すればいい!という気が湧いてきて、何か作りたくなってしまうのが不思議です。どの地域に行っても独特の民芸品があり、技術も様々。でもどこか、愛らしい明るい雰囲気なのは共通しています。そんな様々な民芸品について知れる本がこちら。画家の利根山光人さんが書いた

『メキシコ民芸の旅』という本です。

http://www.bookonn.com/br-537.html

利根山光人さんは、メキシコを題材にした情熱的な作品を多く残した方で、「太陽の画家」とも呼ばれるそう、そんな情熱的な利根山さんが、メキシコ各地の民芸品を訪ねて旅をした記録です。

  文庫本にもかかわらず、民芸品のカラー写真がたくさん入っており、そのカラフルさにまず惹かれます。また、その発想の豊かなこと!一番驚いたのは、アツォンパの素焼きの人形。ヤギ?をかたどった素焼きの人形にたくさんの溝を付け、その間に種を蒔くことによって発芽し、毛がふさふさと生えたように見えるんです!ある意味生きた人形ですね。他にも表情豊かな人形や、つぼ、仮装した子ども達や、絵つけしている女性など様々な写真がのっています。

 これを見ているだけでも楽しいのですが、文章がまたおもしろい!ある工房を訪ねた利根山さんが、なんでもたちどころに描いてしまうため、「新しいデザインを導入するために、一年間うちに来ないか」とスカウトされて、悩んでいたら同行した友人にニヤニヤされてしまったり。食事どころも宿屋もないような田舎の村を訪ねると、「ミヤノサスケを知っているか?」と、その村に日本人の医師が40年間住んでいたことを知らされ、今は閉ざされたその医師の家を案内してもらったり。また、ウィチョル族の酋長夫妻を日本にお招きし、文明とはいったいなんであろうか、と悩み込んでしまったり。と、利根山さんはさぞや、熱く楽しいお人柄だったんだろうと想像されます。

 各地のお祭りにも参加しており、読んでいるだけで、その様子が頭に浮かび、メキシコの文化の多様さ、豊かさ、おもしろさに夢中になってしまいました。霊薬ペヨテを食べて幻覚を見るウィチョル族のお祭りや、真夜中から未明にかけて山腹の墓地が花と蝋燭の光で満たされていくパツクワロの精霊の夜。新郎新婦が海に入って行う結婚式の儀式や、聖体行列の模様など。画家の人が書かれた文章だからでしょうか、まるでそれを見ているかのように絵が思い浮かんできます。どのお祭りもとても美しく描かれているので、とっても見てみたくなりましたが、1976年の本なので、今は行われていないもの、内容や、その村の様子なども変わってしまっているのでしょうか。きっと映像などは撮られていないでしょうから、そういった意味でも貴重な記録なのだろうと思います。

 次にメキシコに行くときは、これをガイドブック代わりに行きたいな〜、と思っている所です。もしご興味がわきましたらぜひぜひ読んでみてください。新しいメキシコ観が生まれることうけあいです!